損切りで損失が確定すると、結果の損益はマイナスになって一時的に「嫌な気持ち」になるかもしれませんが、少なくとも「損失が拡大する恐怖感」はありませんから、早く損失を確定してしまったほうが、再出発が可能であるという安定した精神状態を保つことができます。この恐怖感を我慢してもマイナスが解消することは滅多にありません。逆に言えば、相場の変化は参加者が「恐怖感」に絶えられなくなった状態になったとき、急激な価格の変化となります。まさに参加者が「これ以上損失が膨らんだらどうしよう」という恐怖感の表れなのです。

株価の天井は「信用売りをした人が損失拡大に耐えかねて、急いで買い戻した時」に多く、株価の大底は「買っていた人が損失拡大に耐えかねて処分した時」に多く発生します。このときの人というのは、個人投資家に限りません。証券会社のディーラーでも買値にビビルことも多いと聞きます。恐怖感に資金量の違いはないようです。人間追い込まれると、普段冷静なときにはしないようなことをしてしまうのは誰でも同じで、大損して初めてわかるというのが実情なのです。

売買した後からチャートを見て「なんでこんなところで売買したのだろう」と思うような売買の仕方をしている人は相場の初心者です。しかし、玄人が絶対にココだと思って売買しても、損失になることなどしばしばです。つまり、初心者でもプロでも、最初の出だしは丁半バクチと同じなのです。ただし、ここからが違ってきます。損失拡大という恐怖感から冷静さを失うと「明日は回復するかも知れない」と思ってしまうのです。損失を抱えた人に「冷静な判断」を求めても酷なとは思いますが、実際に損失を抱えてしまつたら、躊躇せずに損失確定をして「これ以上損失が拡大しないという状況」を速やかに作り上げたいものです。損失拡大の恐怖感から解放されれば、落ち着いて次の作戦も考えられるようになります。

損失の確定を実行する方法は、あらかじめ自分なりに損失の許容額を決めておき、それを超えたら躊躇せずに損切り(そんぎり)を実行するようにします。「躊躇せずに・・」というのですから「1円でも有利に・・」などと考え、わずかな値幅を惜しんで指値をしてはいけません。ちなみに、買のときも売りのときも、売買は絶対に成り行きで注文すべきです。判断の間違いが原因で損失が拡大しているのですから、成立の値段よりも傷口を広げなことに集中すべきです。損失確定は、断固実行するのみです。

最後に「逆指値」に触れて置きます。「逆指値」とは、あらかじめ決めた値段に株価が達すると、自動的に指値注文を発注するルールです。最近たいへん流行っていて好評なようですが、この機能と使い方は別問題です。確かに注文の出し忘れを防ぐのには便利かも知れません。しかし、この「逆指値注文」は、あくまでも「指値注文」を出す機能にすぎません。「成り行き注文」ではない点で、この項で言う「損失の確定」には不向きです。つまり、一定の損失額に達したら、できるだけ早く損失を確定することにあります。このとき「指値」では、損切りできないケースも出てくることに注意すべきです。