「人見て相場を張るなかれ」ということは、誰がどうした彼はこうしたという情報で売買をするなということである。 あくまでも自分の感情をまじえないで、相場は相場に聞く態度が肝要である。

ところが人は、「見たい」「聞きたい」「言いたい」ものである。老子は「戸を出でずして天下を知り、窓よりうかがわずして天道を見る」といった。知識や情報を求めて駆けずり回れば回るほど、益々あやふやになり判断力も鈍る。

昨今の株式情報などは、iモードでもサービスしている。如何に株価の気になる人が多いかである。為替の動向が気になるからといって、夜中に海外の貴金属相場や穀物相場を確認していては心配事が増えるだけである。

現実は日本の相場が立たないと分からないのであるから、人より速く知ったところでどうなるわけではない。各節の立会のたびに値段を心配しているようでは、相場の成績は良くならない。

相場は流れについていくことが最も大切である。ところが素直についていけない。また曲がるかと不安になる。計算がはたらくから、損だけを覚えている。損切りしたところまで戻って、同じポジションになることが納得できない。

相場の世界には、名人や達人など存在しないのだから、愚公の愚鈍こそが相場に勝つ神髄ではなかろうか。